自分に嘘をついても結局は続かない。
私は、非性愛者だが、
過去に付き合った異性と
交わった経験がある。
その頃は、まだ非性愛という言葉も知らず、
自分がなぜここまで性行為を避けるのか、
自分がなぜここまで性行為を拒絶するのか、
自分自身でも全く分からなかった。
高校位から周りがどんどん彼氏を作り、
徐々に初体験を終えていくニュースを
耳にしていく中で、
自分1人だけが周りから取り残されて、
遅れを取った気分になった。
その頃の自分は、体を許せる相手と
まだ巡り会えていないだけで、
「いつかは体を許せる相手が見つかるはず」
「その気になれる相応の相手が出来れば、
きっと誘いを受け入れられるはず」
と、楽観的に捉えていた。
でも結局、誰とも交わらないまま、
２０歳の成人を過ぎてしまった。
体を許せる相手が1人も見つからず、
誰とも初体験を経験する事がないまま、
社会人を迎えてしまった私。
この先も待ちに待ち続けている運命の相手が
本当に現れる保証はあるのだろうか…と
言い知れぬ不安や焦りを抱くようになった。
そんな不安や焦りを感じた私は、
もしかしたら所謂食わず嫌いと同じで、
「一度無理にでも試してみれば、
何か現状が変わるかも知れない！」と思い、
本当に苦しい究極の選択だったが、
一度本能に反して人と交わってみた。
一般的に性行為は、
「愛のスキンシップ」で、
「愛を確かめ合う行為」であるのに、
私にとって性行為は、
「ただの苦行、体罰、虐待」
でしかなかった。
体験して感じたのは、
倦怠感、虚無感、空虚感だけだった。
まるで大好きな父親に
近親相姦された感覚に近いような
心に大きな傷を抱えてしまった。
まるでゲイの人が敢えて女性と
交わろうとして上手く行かなかった
感覚にも似ている。
やはり本能的に無理なものは無理で、
本能的に反する事をしてしまった
後悔は想像以上に大きかった。
これが今後誰か異性と一緒に暮らすために
一生必要な営みだと思うと、絶望すらした。
こんな事は一生続けられない。
素直にそう思った。
今も何処かで、
誰にも体を許せないでいる自分に、
悩んでいる思春期の学生や、
苦しんでいる大人がいると思う。
でも、そんな自分を
自分自身で追い込まないでほしい。
無理に自分を変えようとしないでほしい。
自分の本当の気持ちを無下にしないでほしい。
「誰にも体を許せない」のでは無く、
「体を許す以外の方法で、
人を愛するタイプの人間」
なのかも知れない…位の気持ちで、
自分の今の感覚や素直な感情を
1番に大事にしてほしい。
性行為したくない。
エッチしたくない。
セックス出来ない。
誰にも体を許したくない。
その素直な気持ちを大切にしてほしい。
大丈夫。
あなたと同じ感覚を持つ人は、
ここにも1人いるから、安心してね。
あなたは1人じゃないよ。
