アラサー女のノンセクブログ

非性愛のアラサー女です。

積み木くずし

 

我が積み木は常に不安定な状態で、

誰かが1つでもその積み木に手を触れたら、

すぐにでも崩れてしまいそうなほど脆い…。

 

我がカゾクは何十年も前からそういう状態だ。

 

我が積み木は今、崩れないように

恐る恐る箱の中に慎重に運び入れて、

誰一人にもその箱を開けられないように

奥底にしまいこんでいる。パンドラの箱

 

自分にとって頼れる家族は誰もいない。

今までもこれからもきっと何かある度に、

何かを無心され続けるだけのカゾク。

 

 

 

昔借金をしている男性と少しだけ、

交際していた話をした事があったと思うが、

彼は借金があったが、実家もちゃんとあって、

仲が良いと自慢する家族・可愛い愛犬もいた。

 

年末年始の帰省時期になると、

彼は当たり前のように、

実家に帰省していった。

 

彼はきっと私も当たり前のように、

実家に帰省していると思っていたのか、

私の家族の事や帰省先や帰省期間について、

交際期間中に何一つ聞いては来なかった。

 

何気なく送られてくる家族団欒の様子や、

実家の母親が作った夕食や愛犬の写真。

 

何十年も忘れていたような懐かしい光景、

本当に幼い頃に薄っすらと体験したような、

両親兄弟勢揃いの様子がそこにはあった。

 

 

かたやその画像を見ている自分は、

その時何をしていたかというと、

唯一家族に近い存在といえる人間と一緒に

広くはない賃貸のワンルームのアパートで、

TVやネットを見たり買い物に出かけたりして、

年を越すまでの時間を過ごしていた。

 

実家は無いし、決まった帰省先も無い。

年末年始、家族・親戚で過ごす団欒は、

年を重ねるにつれて無くなっていき、

20歳位を過ぎてからはもう皆無だ。

 

 

この話をしていると、

長澤まさみ高橋一生の映画、

嘘を愛する女」を思い出す。

 

あの映画を見ると、大体の人達は、

恋人に嘘をつかれて、真実に迫ろうとする

長澤まさみ側に自分を投影するだろう。

 

でも私はどちらかといえば、

恋人に身分などを偽り嘘をついた正体不明の

高橋一生側に自分自身を投影してしまう。

 

 

世の中には「嘘を愛する女」の

高橋一生が演じた男性のように、

様々な負の事情を抱えてしまい、

身内に犯罪を犯した人がいるだとか、

毒親やストーカーから逃げるためとか、

夜逃げや蒸発や家族離散をしたとかで、

周りのように自分の身の上話をしたくても、

中々出来ない人達がきっといる。

 

自分の事を隠したくて隠している訳じゃ無く、

本当は嘘をつきたくてついている訳でも無い。

生きる過程の中で、自分自身や家族に関して、

堂々と自己紹介が出来なくなった瞬間があり、

とある時から固く口を閉ざしたままの人達。

 

 

質問されない限り黙って答えなければ、

不必要な嘘をつかずに済むのだけれど、

質問されたら、本当は黙秘権を使いたいが、

余計に興味を引きつけて突っ込まれるから、

当たり障りのない嘘の回答をするしかない。

 

 

恋人にそんな嘘をつくなんて酷すぎとか、

恋人にそんな大事な事を言わないなんて、

あり得ないとか思う人もいると思うけど、

そういう人は大体、何も隠す物が無い、

クリーンな人がほとんどなのかも知れない。

 

 

ただ重い話や1人じゃ抱えきれない話を

大切にしている相手に話してしまい、

辛い気持ちにさせずに済むのなら…、

自分の辛さや苦しみの幾分かを不用意に、

相手に背負わせないで済むのなら…、

そして相手に話して他の誰かに

話されてしまうリスクも若干恐れて…、

ただ嘘を重ねて生きざるおえない。

 

 

世の中の悩みは、大体3種類に分かれる。

吐き出す事でほぼ解決している悩みと、

誰かに相談すれはどうにか解決される悩みと、

言っても何も変わらずどうにもならない悩み。

 

例えば、あの彼の借金の話は、

誰かに言えばお金を少し貸してくれる人や、

肩代わりしてくれる人がいるかも知れない。

たとえお金は貸してくれなかったとしても、

相談位にはのってくれたかも知れない。

 

しかし身内の誰かが死刑囚だという悩みは、

過去の変えがたき事実でしか無くて、

自分自身の事でも無く、身内の事だから、

誰に何を言ってももうどうしようも無い。

言う事で得られる事は限りなく少なく、

ほぼリスクでしか無い悩みだ。

 

 

言っても何も変わらずどうにもならない事は、

上手な嘘をつかないとこの世の中を上手く

渡り歩いていけない、生きてはゆけない。

本当の事を洗いざらい話さざる得ないなら、

それは限りなく「死」を選ぶに等しく近い。

 

でも「死」を選択せずに、

なんとか生きようとして、

世の中の影に隠れながら、

ひっそりと粛々と毎日を

生きている人がいる。

 

積み木くずし。

私が一番この世で恐れている言葉。

私もあの積み木を誰にも崩されないように、

これからも嘘を重ねていくのだろうか…。