アラサー女のノンセクブログ

非性愛のアラサー女です。

善意と押し付けは紙一重

 

魔女の宅急便で、

こんなシーンがある。

 

おばあちゃんが孫のために作った

出来立て熱々のニシンのパイを

キキがホウキに乗って、途中雨に打たれて、

ずぶ濡れになりながらも一生懸命運ぶ。

 

しかし受け取った

絶賛パーティー中の孫は、

意外にも冷たい態度だった。

 

孫「またおばあちゃんから

ニシンのパイが届いたの」

孫「だからいらないって言ったのよ」

孫「私、このパイ嫌いなのよね」

 

私は当時、幼心にも、

「この孫はなんて薄情な奴なんだ!」

と心底怒りを覚えた事を今でも覚えてる。

 

でも今は、

少し孫の気持ちが分かる気がする。

 

 

私は、学生の頃から、

とある親戚の1人から

定期的に寝間着を

よく送ってもらっていた。

 

はじめの頃は、断るの理由もなく、

余分にいくつか寝間着があっても、

悪くないかな?と思い、

有り難く受け取っていた。

 

しかし年月が経つにつれて、

家にある寝間着の量が

段ボール1箱分、2箱分、3箱分…

と、徐々に増えていった。

気づいたら普段着より、

寝間着の量の方が多くなった。

 

そこで家族の中で、

これ以上貰っても保管に困るから、

そろそろ断ろうかという話も出た。

 

しかしある日、

その親戚は家族との雑談の中で、

こうサラッと言い放った。

 

親戚「寝間着メーカーのお嬢さんから

定期的にパジャマを貰っているのだけど、

正直貰ってばかりで困っているのよー。」

 

ふーん、なるほどー、合点した。

この人は「私のため」にでは無く、

「自分のため」に送っていたんだなと。

 

自分が送られて迷惑だと思っている事を

平気で他人にもやってのける無神経さ。

 

送られてくる寝間着達は、

「善意や愛情」でも何でもない。

ただの「押し付け」だった訳だ。

 

相手からは有り難く思われ、

自分は要らない寝間着が

手元から離れて一石二鳥!!

 

きっとある程度の値段がする

ブランドモノの寝間着を

タダで貰えた私達はとても喜んで、

感謝しているに違いないという、

親戚の完全なる思い込みと勘違い。

なんとも恐ろしい…。

 

 

宮崎駿さんは、魔女の宅急便

ニシンのパイのシーンについて、

書籍「風の帰る場所」の中で、

冷たくあしらう孫側では無く、

気がつかない内に

腹を立てさせる側、迷惑をかける側

になっているかも知れない

おばあちゃん側について、

焦点を当てて論じていて新しい。

 

 

良かれと思ってしている事が、

実は相手を怒らせているかも知れない。

自分が気づかない内に。←ココ重要!!

 

 

勿論、何か相手に贈り物をするという事は、

すごくステキな事ではあるのだけれども、

渡す相手についてどれだけ考えられているか、

もとても重要だと思う。

 

渡す時期は適切か、

渡す量・頻度は最良か、

渡す物は、相手が本当に欲するものか。

渡す側へある程度の配慮が必要だ。

 

あのおばあちゃんが作った

愛情たっぷりのニシンのパイ。

 

もしあのニシンのパイが

毎週末に届いていたら…。

もしあの大きいパイが、

ひとり家にいた時に届いたら…。

もしあのお孫さんが、

ニシンが苦手だったら…。

 

そう仮説を立てて考えながら、

あのシーンを振り返ってみると、

少し見え方は変わってくるに違いない。

 

「善意」と「押し付け」は紙一重

同じ行為(好意)であっても、

結局は相手がどう受け取るか次第、

なんだよなぁ…。しみじみ。